「中東アラブ研究」履修学生を対象に現代の中東を知るための推薦図書として、「中東アラブ基本図書10点」を選びました。毎年数点ずつ入れ替える予定です。

 

選択基準は、もちろん推薦者の好み・傾向が反映していますが、一人の人物に焦点をあてた評伝は、歴史的な知識のあまりない学生にも読みやすいと思い、積極的に入れました。2、9は古典としての評価がある程度定まっていますし、3、7、8は読み物としてたいへん面白いと思います。

シリアの「難民問題」に関心をもつ学生も多いので、そのバックグラウンドとして、シリア共和国の成り立ちやあり方がハーフェズ・アサドという人物を通して理解できる4を挙げています。また中東史の基本的な視座を得るためにも、1はぜひ読んで欲しいです。6はスーク(市場)における、競争の論理に基づく商行為とは異なる働き方・暮らし方を通してこの地域の面白さ・豊かさについて開眼させてくれます。

パレスチナ/イスラエルに関してはたくさんあるので迷いましたが、現在パレスチナ問題と呼ばれるものの起点であるナクバについて詳しく知ることの出来る拙訳書(早尾貴紀氏との共訳)5を挙げておきました。

10は19世紀のスーダンで起きた土着主義的な宗教運動を扱っており、イスラーム復興現象を広い視点から考える視点を与えてくれます。

今回は残念ながら、エジプトやマグレブを扱ったものについては絞りきれませんでした(アラビア語圏である北アフリカも、広い意味で中東として考えています)。

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